「製造:流通:販売の比率が1:10:100」であることを思い出して、販売/宣伝をもう少し考察していきます。
漫画onWebのように独立した電子書籍(eBook, eComic, eManga)の場合には、どのように宣伝するのかが問題になってきます。いわゆる、購買母数ですね。先のAIDMAモデルに従えば、
- 購入予定者の母数を多く取る(宣伝効果 Attention)
- 購入予定者に興味を持ってもらう(Interest)
- その後に、欲求の喚起(購買意欲)と、買うという行動。
- そして、リピータの確保
という流れです。漫画や小説の場合は、「この著者の作品だから」というファン層の購入が多く、この場合は定期的なアナウンス(メールマガジンや自主的にWEBサイトへの訪問)により購入へと繋げることもできますが、一定以上の購入数が欲しい場合は、「認知=宣伝」が不可欠です。
さて、この認知をどうさせるのか、そもそも「知らない」とその本が買えないわけで、ひっそりいい作品を書いて机の引き出しにしまっておいても、「売れる本」は作れません(カフカやゴッホのような路線もあるけど、それはまた別な話なので)。
いま、漫画や小説に関して、WEB取られている戦略は、
- 書評などの紹介ブログ、口コミ
- 電子書籍のサイトでの宣伝
- Amazonのアフリエイト
- GoogleのAdSence
です。紹介ブログ、口コミは制御できないので、ここではパスしておきます(実は、アフリエイト、AdSenceに関わってきますが)。
Amazon のアフリエイトは非常に強力ですし、本の紹介の場合には表紙画像が使えることから、皆さん重宝しています。一時期は「本の表紙は出版社に権限があるので、一般サイトでは公開してはいけない」ということもありましたが、Amazonさんが各出版社に交渉したおかげで、現在、表紙の画像をブログなりに載せることが可能になっています。このため、表紙の画像をブログなどに載せることは、違法であるかどうかは、うやむやになっていますが、ここでは問題にしません。ああ、肖像権は一部で問題になっているようですね。
Amazonさんは、表紙を掲載できるという労力の代わりに、Amazon経由で本を買ってくれるというシステムを作り出しました。かつ、アフリエイトという形で、購入費用の一部を掲載者に渡すことで、さらに広めることに成功しました。
同様に、GoogleさんのAdSenceもそうです。Googleさんのほうは、Amazonさんとは違い、掲載するターゲットを絞るのではなく、検索システムにマッチしたものを表示させます。これは、技術としてGoogleさんが持っているから出発できたシステムでもあり、逆に言えば、Amazon方式はGoogleさんは取れなかったためです。
そんな訳で、現在アフリエイトと言えば、
- 紹介本を絞った、Amazon のアフリエイト
- 検索にマッチさせた、Googleのアフリエイト
の2つが主流です。
もうひとつ、最近のAmazonさんの宣伝に、「この本をかった人は~」と他の本を紹介する仕組みがあります。これも Google さんは取れない戦略で(Google さんの場合は、検索したかどうかというデータでマッチングをさせる戦略があります)、顧客情報を大量に抱えている Amazon さんだからできる芸当です。
これを、ブログパーツ化させた、
- 複数の本を並べるアフリエイトも
もあります。
さて、この現状を踏まえた上で、電子書籍が弱いところは、
- Amazon のアフリエイトに載らない。
- Google の検索にマッチさせにくい(作者名、作品名が知られていない)
という問題があります。同時に、
- 「この本を買った人は~」の類似戦略も取れない
という問題も加えられます。そう、四国の独立リーグのようなものです。プロ野球はTV中継されるけど、独立リーグはラジオ中継どまり(?)、知らなければ観戦することもできませんよね?
じゃあ、八方ふさがりか?と言えば、そんなことはありません!
先の、アイドマの法則から「リピータの確保」に勝機/商機があります。
漫画同人誌、BL、エロなどのリピータは結構な率です。ツイッターでも多いですが、ブログを書いている人も多いです。また、漫画の熱心なファンは多いし、特定の漫画家なら何んでも買うっていう人もいます(ここにいますw)。そういう人たちは「リピータ」なんです。なので、利用/協力しましょう。
# 「利用」というと大衆的なんだが、「協力」というと身内だよね、こっちのほうが好き。
と、ここまでが前置き。
~~
やっと宣伝の「戦術」な話に入りますが、ざっと方針を列記すると、
- 現状の読者/FANを大切にする(リピータ客として確保)
- リピータ客の、口コミ効果を利用する(Attention, Interest)
- 購買は、独立サイト(漫画onWeb、同人誌サイトなど)で買ってもらう。
という流れを作ります。口コミ効果のほうは、読者自身がブログを書いたり、Twitterで熱心に宣伝するので、そんままでもOK。なんですが、もう少しITシステムを活用します。そう、Amazon、Googleの方法を真似ます。ええ、そうです、日本の物真似ぢからって奴ですねw。
- Amazon の商品紹介のようなブログパーツを独自に作成する。
→ 購入先は、各独立サイトにする。
→ 商品画像、購入システムは、出来る限り Amazon に似せて使いやすいように。
→ プロ、アマチュアを問わず、電子出版絡みであれば何でも入れる。小説も可能。 - Google AdSenceを真似て、ブログの中身を読み込む。
→ マッチング情報から、お薦めの数冊をデータベースから抽出。
→ 購入経路は、Amazon ブログパーツと同じ道筋に。
→ AdSence のほうは、成人漫画を別枠にする(区別させる)
という形で、WEBサイトで書籍を紹介している独立サイトを横断させます。
そして、ここでできたブログパーツを、
- ブログのパーツとして貼る。
- 本を紹介したいときは、Amazon のように貼りつける。
ようにします。一見すると、Amazon、Google と全く変わらないのですが、中身は独立サイトへ、というやつですね。パーツを埋め込むときのインターフェースさえ、同じようにしておけば、各ブログのプラグインを作成するのも簡単でしょう。
Amazon アフリエイトのように、ブログ掲載の方には収入がありませんが(先行きは入れたいけど)、最初は、
- 自分の好きな漫画家だからとか、
- 自分が参加している同人誌だから、
- 友達が参加している同人誌だから、
- 応援したい作家がいるから、
という感覚で貼ってくれると思うんですが、どうでしょうか?
僕が缶バッジとかTシャツみたいなバンドのツアーグッズが好きなんで、
在庫を持たないで注文したときにだけ作ってくれるサイトを
よく利用してます。デザインするのも好きなので。
だけど、IT関係じゃない友達と話してると、サイトを見てくれても、
「買える」ってことに気付いてないパターンが多いですね。
ブログパーツみたいにして貼付けてるのに、ですよ。
別に買ってもらいたい訳じゃなくて、Tシャツってどうやってるの?
という話になって、そういう話の流れになるんですけど。
===
あとは仕事の依頼とかできるとうれしいかも。
ロゴ作ってとか。あるユーザーだけのオリジナルとか。
売れてる作家だったらやってくれなさそうなやつです。
先物買い好き的なユーザーも取り込めるでしょうか。
===
勝手にバンドのロゴをデザイン系の人が作ってくれた事が
あったんですけど、やっぱりセンス良かったです。
で、そういう人に出会う確率が7/1000、もっと一般受けを
狙った内容ならもうちょっと確率が上がるんだろうなぁと。
やっぱり「存在」を知ってもらうのが一番難しいなと
やってみて感じました。
100万人に聴いてもらったとして7,000枚くらい売れるんだなと。
え、そんなに他人に共感してもらえる確率があるんだ、で
僕は終わっちゃいましたけど。。
本気でやってる人だったら、そういう定量的な要素がわかれば
仕事にも身が入ると思うんですよねぇ。
ブログパーツを作って「繋がり」を保つ、という点では
>あとは仕事の依頼とかできるとうれしいかも。
になる可能性があるけど、確率的には難しいと思う。
例えば、本を探すならば漠然と探すよりも、
・本の詳しい人に尋ねる(コンシェルジュ タイプ)
・本の豊富なところに行く(本屋、博覧会タイプ)
・好み一発のところに即行く(コミックマーケット 同人会タイプ)
な訳で、これをインターネットに置き換えた場合は、
・書評ブログ
・Amazon、出版社ページ
・身内の同人ページ
になると思う。
個人でやる、好き嫌いの好みが分かれるものは、同人タイプがいいだろうけど、
そこへ辿り着く路線が乏しい、iTuneやAppleStoreにしたって、数万もあると
AppleStore自体の収益は出るだろうけど、出品者に辿り着く経路は、独自に
作らないといけない。
そういう点で、同人系の宣伝経路は、Amazon や Apple に任せるのは駄目で、
独自に経路を気づいていくしかないだろう、と思う。
昔、google が無かったころ、プログラマの人はリンク集を豊富に持ってたし、
私も書評/作家関係のリンク集を持っていた。また、書評リングみたいなのも
あった。google からの検索も期待できるだろうけど、もっと太いパイプを
リング形式(輪っか)とし取るのがよいかな、と。
販売母数を増やすのもそうだけど、販売率に力を入れる形で。