多数決という非民主的な暴力の裏

タイトルは「多数決という非民主的な暴力」と銘打ってみたけれど、それほどセンセーショナルなものにはしたくはないので、後で考え直そう…と思ったけど、このままで。

安保改正法案の発端から考えてはいたけれど、特にブログに書くことはありませんでした。私としては発端の違憲状態からの法案提出の時点で、成立してしまった場合かなりリスクがあることを懸念しているわけですが、それはさておき、ディベートの手順に従って議論の相手にエールを送るところから始めてみましょう。ちなみに、公聴会の翌日の参議院委員会の裁決のスタイルは時間稼ぎであれ法案を通そうとする強行採決であれ、あまりにも「雑」ではなかったかと思います。その雑さがあまりにも低俗なため低俗のまま議論しても始まらないし、将来を憂うのであればきちんとしてた論議のスタイルを守るのが必要ではないでしょうか。とは言え、デモを否定するわけでもなく、意味のないハンガーストを肯定するわけでもなく、違法逮捕を肯定するわけでもないのですが、賛否両論が意見を交わしている間は「平和」であることは確かなことです。そうそう、国会内で議員さまが殴り合いするのは彼らの権利だし仕事(パフォーマンスという意味で)なので、おおいにやってください。議会内は治外法権ですからね。

以下、エールを込めて、賛成案から考察していきます。

集団的自衛権を行使して平和を守るということ

政府与党から意見がもろもろありますが、それを通り過ごして民意として考えていきましょう。

集団的自衛権を行使して日本の平和を守ること、仮想敵国から自国を守る準備をすること、一国では対抗できないので陣営を組んで仮想敵国と対峙することは、何ら悪いことではありません。仮想敵国である中国・韓国の都合もあれば、東南アジアの先兵(地理的に日本が前面になる)という主張もあれば、アメリカ軍のバックを得るという利点もあります。そのためには、軍備を放棄する憲法のまま、軍備らしきものを装備せねばならず、さきゆきは改憲を見越して現時点の安保法案を通します。これは、尖閣諸島、竹島の問題を守ることでもあり、民主党政権で培ってしまった中国寄りの政治的判断を正常に(中立に)戻す意味もあります。

このために、自衛隊とアメリカ軍が組むときに(自衛権を発揮しなければいけないときに)、海外派兵なり物資供給なり再軍備なりをすることは国としての安全を保障するための急務です。いままで、多少足かせになってしまった憲法第9条の精神を尊重しつつ、日本の平和を守るという点で一国の軍備だけでは仮想敵国(中国と韓国)に対抗することはできず、話し合いによる外交を進めると同時に相応に対抗するための武力装備をしていきます。これからは、いままでの単純な「武力放棄」という架空な平和主義ではなく、現実的に対抗できる武力を以ってしてしか均衡を保つことができない現実解になります。

戦争を回避するための再軍備であり、とある未来の危機に対抗するための集団的自衛権の行使と安保改正による強化であるのですから、即戦争になることはありません。逆に言えば、いざ戦争になってしまったときに軍備も集団的自衛権も行使できない状態で日本の安全を確保することはできません。そういう不測の事態に対応するためにも、安保改正を成立させることが必要になります。

安保改正の反対するということ

これもプロ市民、韓国籍等もろもろありますが、平易な反対する理由を考えていきましょう。

第一に、憲法を勝手に「解釈」した上での安保法案は違憲であると考えます。立憲主義が立憲であるこということは、政府、閣僚、国会の多数に関係なく「憲法に従う」ことが重要です。憲法第9条の「放棄」に対しての意見は多々あるでしょうが(GHQの押しつけ、アメリカの都合など)、それを以ってして日本の平和が守らて来たことは事実です。それが仮初のものであったとしても。なので、そこの「解釈」を現時点の閣議を以って、勝手に決められては困る。自民党が圧勝したのは、民主党政治の反動もであり(あのぐだぐだ感は相当ひどい)、この「安保改正」を推進する意見ではない。

また、再軍備をしたとき、集団的自衛権を行使してアメリカ軍と組んだときには、日本では徴兵制が始まるのではないだろう?現実、社会保障(年金、介護、少子化)の問題が山積みしているところに、軍事費にお金を大量投入する意味があるのか。軍備を強化する前に、国力を保つことが大事ではあるし、大本が崩れてしまっては元も子もないのではないだろうか。中国と韓国の脅威は、確かにあるだろうけれども、これほど急がないといけない訳ではないだろう。まずは、外交からスタートしなければいけないし、経済制裁等、軍備ではない方法を模索するのが第一ではないだろうか。

憲法第9条を守ってきた日本の立場を崩さないためにも、急速に再軍備を進める必要はない。かつての戦争の道筋をまた繰り返すのだろうか。

両論あるということ

これを多数決で決めろというのが、無理でもあり。多数で決めたいというのが多数決という民主主義(と思われるもの)であったりする訳です。世論、デモ、マスコミ、新聞、ツイッターのリツイート数などを見ると、賛成が多いような気もするし、反対意見が強いような気もします。ただし、絶対的な真実としては、国会内の与党数が過半数を超えているということですね。ここだけは動かせない現実です。

じゃあ、「多数決という民主的な方法をとって、賛成を通せばいいんじゃないか」という意見もあるでしょうし、実際そういう意見はツイッターで多く見かけます。ただし、「多数決で決めること」が民主主義的ではないのは、絶対的な少数派が常に弱者の立場に追いやられてしまうことです。民主主義の基本(軍国主義や全体主義の対抗として)理念としては、民衆の総意を以って政治なり法案なりを決めていくことで、その議論は代議制によって行われます。代議制は民衆の代表であるから、多数であれば代議士が多く、少数であれば数は少ないでしょう。しかし、少数意見を捨てない方法が常に取られます。それは偽善かもしれませんが、ボランティア活動であったり、ユニバーサルデザインであったり、老人/女性/子供(あえて女性を入れます)への配慮であったりします。これらの弱者配慮というポリシーは、いわば「余裕」でもあります。逆に言えば、今、多数決で無理やり決めようとしているところには、とある「余裕」が無くなっているのでしょう。

何故、来年ではダメなのですか?

ま、レンホー語を借りれば「何故、来年の成立ではダメなのですか?」、「何故、憲法の改正をしてからではダメなのですか?」と聞きたいところですよね。中国・韓国の危機が迫っているという意見もありましょうが、中国経済が暴落等で減衰しつつあるし内部で手一杯でしょう、韓国は北朝鮮との緊張状態もあり竹島問題も放置しつつあります。尖閣諸島問題も放置されています。ガス田は掘り続けてはいますが。

シリアの問題もあり、ISISなどのテロ活動もあり、のんべんだらりとした平和主義を貫くには難しい状態にはなってきました。ならばこそ、それなりに準備をして「憲法を改正」した上で、現政権にて国民投票をした上で改正すれば良いでしょう。安保条約は、今年だけの問題ではないでしょう。ならば、今回のような強行採決を疑われるような場面を国会にて演じるのではなく、来期に持ち越してはどうでしょうか?

利得者がいる

既に、だいぶん透けて見えていると思いますが、利得者がいます。「余裕」があればこそ、来期でもよいし、年末でもよいわけですが、夏のおわり秋のはじめに決めなくてはいけない理由があります。基本的に、現A首相は胃弱なので強烈なストレスに耐えられません。逆に言えばストレスを掛ける相手には非常に弱く、なんらかの精神的ストレスを避けるように動き始めます。人間も動物なので、これらの行動原理は仕方がありません。個人的に強硬策ができるタイプでもない場合、何かの後ろ盾が必須です。

まあ、安保を破棄してしまうとアメリカに捨てられる日本という構図があり、日本は孤立してしまうのではないか、という恐怖があります。実際、孤立したときに中国・韓国に攻められるのか、東南アジアの各国から逆襲を受けるのかはさだかではありませんが(こわくてシミュレーションできないのではないか、という噂もあります)、この国際情勢でいきなり戦闘状態になるとしたら北朝鮮からのミサイルなので、それくらいを気を付ければよいでしょう。

そういう意味で、大国アメリカに寄りかかってしまっている日本ではありますが、アメリカから見れば中国・韓国への防壁としての日本ですよね。そういう立ち位置にいて、アメリカの防衛費の一部を日本が負担する(日本に負担させる)のは、アメリカとしてはまっとうな戦略かもしれません。日本としてはたまったものではありませんよね。そういう軍事費/防衛費の予算組が、今月末にアメリカであるのだから、関連がないとは言えないんじゃないでしょうか。

軍備を売る、武器を輸出するというのは、人道的にはどうあれ非常に儲かるものです。なぜかというと、軍備/武器自体は常に壊れることを前提としているので、常に新しいものを供給する必要あります。サイボーグ009にも死の商人が両陣営に武器を輸出して儲けるという話が何度も出てきます。不思議ですが、仮面ライダーのショッカーはこの方式はとらないんですよね。それはさておき、常に作る/壊れる/作るという循環があるがゆえに、兵器というものは生産として儲かるのです。なので、武器を輸出するという(壊れるものを輸出する)というのは是非ともやりたいことではあるんですよね。利得者が。

政治的な信条のあれこれの前に、経済界にべったりの政権があります。これは自民党が培ってきた族議員とか利権の話になります。民主党政権でも似たことをやったので、どっちもどっちです。また企業のほうも、自民党から民主党に乗り換えたり、再び自民党に乗り換えたりするので、法人税の減税もあわえて経済界にべったりなのは確かです。

そんな話を前提として

そんな話を前提として、わたくし的には、「憲法の改正手順を踏んで、憲法第9条を改正する」「その上でならば、自衛隊の軍化もありだろうし、検討の余地はある」というところです。徴兵制や軍事費や安保改正のあれこれは、これの先の話です。でもね、たぶんA首相にはこれができません。そういう話です。

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