第42回いたばし起業塾 大林浩氏

株式会社SEメディアパートナーズ代表取締役 大林氏の講義でした。
http://www.itabashi-kigyou.jp/seminar_juku.html
http://www.semp.jp/index.html

サラリーマン(証券)から退職後、社長に就任、その後、合併により上場している社長(株主のいる会社の社長)を経験していらっしゃいます。
で、早速ですが聴講した結論としては、

・構想は楽観的に
・計画は悲観的に
・実行は楽観的に

に尽きる、という話でした、、、で、いいんですよね>大林社長

私はご存じIT業界に勤めているので、主に製造業、時にサービス業なわけですが、私の主体としては「製造業」。製造業、それもプログラミングの世界は「家内制手工業」に近いものがあります。
まぁ、IT業界の場合、怪しいものから/不明なものまで、色々あるわけで、他の業種から見ると怪しいところだらけなんでしょうけど、理系で突っ走ってきている私の場合は、断然「製造/研究」という頭で、プログラミングしています。

なので、逆に言えば、銀行/証券の仕組みのほうが、私にとっては怪しい世界で(笑)、大林氏も話していましたが、証券の世界は「手数料」で成り立っています。株式を売買する、株式を上場する、M&Aをする、という「株」が動くたびに「手数料」が発生し、それが証券会社/社員を養っています。
同様に、銀行も手数料の世界で、ATMの手数料、他銀行への送金の手数料など、お金が動けば「手数料」が発生します。なので、銀行にお金があるだけでは、銀行は儲からないのです。あっちへこっちへお金を動かすことにより、銀行はもうかる仕組みになっています。勿論、お金とは言っても、実際にモノがあるわけではなくて、数値をあっちにやったり、こっちにやったりするだけです。システム屋さんから見ると、「なんでそんなに手数料がかかるの?」(と言ってはいけないような気も)というものなのですが、まぁ、そういう世界です。そうそう、「当座預金」というのをご存じでしょうか?一般人は使わないのですが、小売の世界ではよく使われます。この当座預金は、一般的に使われている普通預金とは違って、利子は付きませんが、手数料が掛かりません。まあ、このあたりのは話は別途、簿記の話ということで。

さて、この「手数料」ですが、所謂、一般に流通という言われう業界では「マージン」とも言います。ゼネコンIT業界でもご多分に洩れず、「マージン」があります。派遣業界、個人事業主の紹介料、孫会社への開発スルーなど、色々なマージンがあります。「営業費用」と言ったりもします。他の言い方として、「管理費」(笑)もあります。「マネージメント費用」(笑)とも言ったりします。

流通、営業、小売、卸問屋の関係は、それぞれがマージンの世界です。本来ならば(?)、製造→顧客の直販によれば、中間マージンが取られませんが、製造場所が遠方であったり、特殊な世界(美術界など)であったり、そもそも製造側が売ることを考えていなかったりすると、中間経路が発生します。商業というのはそういうものです。

日商簿記の場合、商業簿記と工業簿記の2種類に分かれていますが、この商業にあたるのが商業簿記です。商業簿記の場合は、「仕入れ」と「販売」が重要になります。当然、安く仕入れて、高く販売するのが理想的です。これがマージン=営業利益です。
資金に任せて、大量購入し販売をこなすのが、所謂「商社」です。大量に仕入れることで、購入価格が下げられます。何故下げられるのかというと、サプライチェーンというのがあって、それを勉強すると分かります。

ええと、かなり脱線していますが。

逆に、製造業の場合は、工業簿記を使います。工業簿記では「原価」と「売価」が重要です。原価は直接費用と間接費用がありますが、人件費は直接費用に入ります。間接費用は主にシステムや経理の管理費を示します。
製造業(実は農業も同じ)の場合は、原価と売価の差分が利潤になります。

さて、この2つを見比べると、

・商業の利潤=販売-仕入
・工業の利潤=売価-原価

になり、一見似ているように見えますが、実情はかなり違います。

利潤を多くとるためには、販売/売価を上げる、あるいは、仕入/原価を下げるの2つの方法があります。
どちらも高く売れれば良い、というのは共通しています。しかし、この不況下においては「高く」売るのは至難な技です。
なので、いきおい利潤をあげるためには、仕入を下げる、あるいは、原価を下げる。ということになります。

さて、この「仕入を下げる」あるいは「原価を下げる」というのは、具体的に何を示すのかを考えてみましょう。

■仕入を下げる

仕入というのは、できあがった商品を仕入れることです。装飾などはするでしょうが、ほとんど加工はしません。なので、仕入を下げるということは、仕入先の業者に対して支払う金額を下げる、ということになります。つまり、「会社の外へ」の圧力が強まるということです。

■原価を下げる

原価の場合、材料費などもあり、商業で言う仕入に似たところもありますが、工場のように製造工程を含む場合には、人件費を多く含みます。なので、原価を下げるということは、人件費を減らす。つまり、「会社の内へ」の圧力が強まるというとになります。

単純に考えると、圧力の向きの違いになります。圧力=企業努力という言い方で考えれば、仕入を下げることは外部の会社に企業努力を求め、原価を下げるということは会社の内部で企業努力をする(リストラも含む?)ということです。

さて、どちらが経営者にとって楽なことなのでしょうか?

この答はそれぞれの方が考えて欲しいのですが(私の中での答えは既に出ています)、まあ、会社によって様々でしょう。

そんな訳で、大林氏の話を聞いて私が思ったのはこんなところです。
# 起業塾での話の内容は全く違うんですけどね。

参考文献としては、以下になります。

ゴールドラット著
「クリティカルチェーン」
リチャード・セイラー、キャス・サスティーン著
「実践行動経済学」

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