定期的にキーエンスの営業力の高さが流れてくるのだが、実際のところどういう情報は巷には流れているのかを、拾い集めてみる。いわば、「30台で、家か墓が立つ」といわれている K 社の噂は本当なのか?それを支えているものは何なのか?とか、以下は Copilot などを駆使して探してみる。
ビジネス視点で考えると、K社の方法はファブレスという工場を持たない営業特化に絞っているところが大きい。もちろん、顧客ニーズの取り込みとか、いろいろあるわけだが、外部からの分析としては、これがわかりやすい。
キーエンスの強さの源泉。最強の営業の型「PSS」とは | SFA JOURNAL
https://next-sfa.jp/journal/sales/pss/
既に名前をついている。おそらく、営業方式のカンファレンスとかで使われているんじゃないだろうか。PSS(Professional Selling Skills)で検索すればいくつも出てくる。
- オープニング
- プロービング
- サポーティング
- クロージング
他にも四段階をステップとして、営業活動を合理的に示して、横展開できる状況を作っているのが K 社の営業方法である。なので、上記のステップを営業している個人のみが使っていても K 社には追い付けないし、合理化の恩恵が受けられない。これが、K 社の営業として同じ形で横展開される形で浸透しているからこそ、同じスタイルを貫けるし、それが客先に対しても同じ品質(営業としての)が得られるという安心感(継続であろうが新規であろうが)があると思われる。
営業マンには服装ルールがあって「白シャツでジャケットを脱がない」が徹底されている。白シャツなので、赤シャツだったり柄物だったりしない。普通の会社の営業では個性を演出するためにネクタイやシャツなどを工夫するところだが、K社では「営業」という型を徹底するために、白シャツと決まっている。
キーエンスでは「シャツは絶対白」と決まっている – 日本唯一の経営者専門スーツ仕立て屋 イルサルト
https://ilsarto.net/blog/archives/21559
そのあたり、Java の方(型)ですね、と言いたくなってしまうプログラマでもあるが、まあ型なんです。実は、これは内勤の派遣や開発者にも適用されていて、白シャツとネクタイの色が制限されている。内勤の場合、外部から見えないからどうでもいいような気がするが、私服なんて持っての他。つまりは、アジャイル開発とかには適さない体制が内規として組まれている。
[246] 営業所に赴任してから教えられるキーエンスのルール⑪【当番とお昼休み】:元キーエンス(→アンリツ)社員の回想[246] | アンリツ | 東京・四ツ谷の経営コンサルタント 立石シゲオ中小企業診断士事務所
https://www.tateishi-smemc.com/2019/05/30/%ef%bc%bb246%ef%bc%bd-keyence-_-sales-office-rules%E2%91%AAresponse-for-lunch-time/
さらに言うと、K社では昼休みがは短い。たまに、着替えは勤務時間に入るのか否か、という話が X に流れることがあるが、K 社では昼休みは、午後1時に着席していないといけない状態になる。昼に外出禁止のところもあるようだが、外出は自由である。しかし、時間内に戻ってこないといけないので本社ビルのエレベーターは激混みである。時間通りに戻ってきては間に合わないので、少し前に戻らないといけない。当然、出社もそのようなエレベーターラッシュがあるわけだが、社員や長めの契約社員の方は普通である。ちなみに、遅刻をするとビル下の警備員ににらまれるのである。まるで、高校生のようだw
キーエンスの厳しい社内ルール4選を元社員に聞いてみた|キャリアスイート(ハイキャリア転職プラットフォーム)
https://note.com/career_suite/n/nedef4ac29cd9
あと、基本的に就業時間中は私語禁止である。どうも営業活動であっても内勤の会社であっても私語禁止なので、気が休まる時間がない。休憩所はあるにはあるのだが、ゆったりとした気分にはならない。休憩室に椅子とかはない。当然のことながら皆さん白シャツである。
一般的な IT 会社に比べると、K 社は厳しい社内ルールが敷かれていて、到底あたらしい社員が入らないんじゃないかと思われるが、なにせ2000万という年収は堅い(きちんと馴染めばの話だろうけど。営業のほうは、営業ノルマがあるので大変そうだが、技術者採用の場合は「作れ」ばいいので、比較的達成しやすい。ただし、技術者は 1/10 ぐらいなので狭き門である。もちろん、白シャツと私語厳禁には耐えないいけない。あと、技術者のほうは徹夜は当たり前なので、就業時間はあって、無きがごとしだ…と聞く)。このめに、年収につられてほいほいと新入社員がやってくる。まあ、年収と福利厚生ぐらいしか外側から見えないので、それもまた良いだろう。
で、営業力に戻ると、先の PSS(Professional Selling Skills)による合理化が徹底している。K社内で PSS と言っているかどうかわからないが(実は聞いたことがない…と聞いた)、営業システムなどを含めて数億円をかけてシステムを組み、営業への合理化をすすめている。合理化というとコストダウンのように見えるが違う。営業活動をするために、目標達成のための無駄を省き、達成のためには資金をつぎ込むという体制が K 社にはある。これは、営業ノウハウ自体を全社に横展開することで成り立っている。ゆえに、社員が白シャツであったりネクタイの色が揃っていたり、営業スタイルが皆同じであったりするのに通底しているのだ。
だから、それが悪いとは言わないし、実際に粗利は50%を越える営業成績を残しているし、実績がある。ただし、そこに再現性があると言えばどうだろうか?と悩むところでもある。
ちなみに、同じような営業スタイルは、他業種としてはパーソルやリコー(のリコピーの時代)やトヨタ(のトヨペットの時代)がある。徹底的に顧客の要望を分析してい、顧客の求めるものを掘り起こし、顧客の要求を素早く解決する、という方法を取っている。K 社がリコーとトヨタと異なるのは、いわゆるファブレスであり工場を持たないことだ。パーソルは工場を持たない(派遣社員だけを持つ)ので似たスタイルと言える。
余談だが、一方でラピダスがある。先日、NHK 特集で半導体復活の特集を組んでいた。
1兆円を託された男 〜ニッポン半導体 復活のシナリオ〜 – NHKスペシャル – NHK https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/NWQKL47GY6/
ラピダスの場合は工場そのものである。しかし、80年代の半導体産業とは異なり、設計と生産ラインを一体化しない。ラピダスは生産ラインのみ持つという形式で、半導体設計はやらない。他社が設計したものを作るというスタイルを持つ。実は、きょうび、半導体の設計と量産を同時にやることはない。これは TSMC でも同じだ。ソフトウェアを駆使しての設計(ハードウェアの設計)と、ソフトウェアを駆使しての量産ラインの保持(ハードの製造)とは異なるという形になる。あえて、ソフトウェアを絡めるのは、ここにソフトウェア開発者としての余地があるためだ。もちろん、それぞれの専門知識(ドメイン知識)が必要なのであるが、ハード特化とは異なる形があるだろう。
と、ラピダスと K 社のアピール面は異なる。K 社の場合は、徹底的に合理化された営業スタイルとバックグラウンドにある営業システムに強みがある、今後もそうだろう。一方で、ラピダスの場合は(まだ成功しているわけではないが、あのロードマップを見ると、成功はしそうだ。少なくとも試作はできている)、専門知識を活用した上で、一点突破のスタイルで突き進む。まさに技術力と品質が営業力となっている。
もちろん、K 社が対象となる顧客は数万社であり、ラピダスの対象とする顧客は 10 数社というところだろうから、営業スタイルが変わっていても問題はない。逆に言えば、対象となる顧客の象が異なれば、K 社の営業スタイルを適用する必要はないということだ。まあ、パーソルのように逆も真ではあるのだけれど。
では、非 K社スタイルでの営業活動を Copilot と一緒に考えてみると、雑談や創造性を活用した形での「共感型営業」という単語が出てくる。K 社が顧客との「目的共有」というスタイルで進むのであれば、対抗する営業スタイルとして「共感共有」からはじめたらどうか、という提案だ。端的に言えば、アジャイル型で雑談を大切に、スタイルに引っ張ろうという私の意図的なものではあるのだけれど、合理化スタイルが苦手な場合は、別の方法を取ればよいんじゃないですか?ということです。別にK社と対抗したいわけではなく、K社ができない場所を取って行けばいいということですね。
おまけ
moonmile/omitt-chan: 見積もり依頼作成ツール
https://github.com/moonmile/omitt-chan
共感というか、見込み客自身が IT 屋に発注するために、自ら見積もりができるツールの試作です。非 IT 業者向けです。OpenAI API を使っているので、ローカルで動かしてみてください。参考サイトは https://omitt-chan.vercel.app/ にあります。そもそも、どう見込み客にリーチするかどうかは問題があるのでが(苦笑)、これ、AI エージェントを使って高速プロトタイプ作成をしたらどうなるのかの一環なので、そういう意味でのお試しです。ちなみに、この React コードは内部にあるプロンプトも含めて1日程度で出来ています。
