「おい、お前、朝っぱらからナニやってんだ!」
俺は、いきなり親父から怒鳴られた。二階から降りて来た親父は、いきなり俺を見て怒鳴った。実に元気だ。朝っぱらから怒鳴る元気があるのは、実に羨ましい。
「その、なんだ、朝っぱらから、ぐりぐりぐりぐりとかき回して、ナニをねばねばとさせて、ナニやっているんだ!」
ものすごい剣幕だが、いつものことだ。隣にいる妹もきょとんとした顔をしている。別に怒られることをやっているわけではない。
「納豆をかき回しているだけだが・・・」
「おい、その混ぜたものを、ナニにかけるんだ?よだれを垂らすように、滴った女体の上にでも掛けるのか?刺身でも乗せるのか?そのまま食うのか?」
親父は妹を見ながらも、怒鳴り続けた。
「納豆はご飯にかけて食うんだよ。納豆ご飯って言うんだよ」
「口の中にいれて、にちゃにちゃにちゃにちゃとかき回して、ねぶりまわして、ナニを味わうがごとく、ナニするときに、ナニを思うのか、お前、朝っぱらから本気なのか?」
親父の言い分もわからないでもないが、いやわかるのも変だが、俺は納豆を喰いたいだけなのだ。納豆を喰うのにナニを使うわけでもない。箸でかき混ぜているだけなんだが、ダメなのか?
「それに、ほら、あれだ。体にいいとか、デッドストックとか、受け身だとか差し込みとかいろいろナニがあるだろう。どうしてナニにならないと、ナニできないと言うんだ。お前は?ナニに使えるようなナニを持ってきて、差し込んだり前後したりしているんだろう?朝っぱらから」
「ナスの漬物を作っているだけなんだけど」と妹が言う。
「ナニをするときに、ナニを思うのか?」
変な禅問答に近くなってしまうが、いや、ナスの漬物を喰う時はおいしいなぁとか季節感があるなぁとかしか思わないだろう。きゅうりだって同じだし、人参だって同じだ。大根だってそうだろう。
「おまえ、そのナニをだんだん大きくして開発していく気だな。ナニをナニしたときには、ナニが味わってきて気がナニになるんだ。そうだろう、きっとそうだろう」
もはや、何を言っているのかわからないが、漬物の開発は妹の職業だ。食品工場に勤めていて漬物の新規商品を開発しているのだ。確かに、親父は漬物工場に勤めるときに反対した。猛反対した。ナスやらキュウリを扱う工場なんてとんでもない。もっと、電動のアレのような処に努めなさい、と訳の分からないことを言い始めたが、妹は無視した。妹の作る漬物は美味しい。特に小茄子が美味しい。
「それにお前、外に出るときにはナニをナニしているだろう?違うか。そんなことをやっていると、満員電車でナニされたときに、ナニにつかまりながらナニになってしまうから、ナニには気を付けないと駄目だぞ」
親父は説教臭いことを言ってみるものの、もはや何を言っているかわからない。本当だ。満員電車に本を持っていて立って読んでいることの何が悪いのだろうか?ここは都内の通勤圏内であって、電車は混んでいる。常に満員電車だ。仕方がないので、吊革につかまりながら電車に揺られている。時に急ブレーキをかけることもあるから、吊革をしっかりとつかまないといけない。
「それに満員電車では、ナニのために押し出される。あるいは突っ込まれる。後ろから押されることもあれば、前から押されることもある。密着したナニの状態で、ナニがナニしたらどうするんだ?」
吊革を離したら倒れるだろうが。危ない。しっかりと掴んでおかないと駄目だろう。
「だから、お前たちはナニをナニすることばかり考えているから駄目なんだ。将来的に、ナニをナニするために、ナニをしなければいけないのか、目的意識をもってナニをするかナニを捨てるのか、ナニを拾い上げるのかを大切にすることを気にかけねばいかんぞ。人生は短い、ナニも短い。太くありたいと思っていても、細く長くナニすることも重要なのだ。ナニをする前にナニしてしまうことがある。時には早くナニしてしまうこともあるかもしれないが、それは失礼だ。だから、ナニを長く保つために、それは慎重にナニしなければいけない。わかるか。わかったか。本当に分かっているのか。女性にナニがないと言われて久しいが、時にはナニを以ってもナニごとに代えがたいものがある。そういう場合には、ナニだとしてもナニすることが重要なのだ。世間体を気にしてはいけない。いや、世間や良識を信用するのは重要だ。しかし、そこでナニに対して忖度してはいけない。己のナニをナニにするためには、ナニだとしても突き進みナニをナニすることに恐れを抱いてはいけないのだ。ナニ、そんなことも分からないのか。ええ!毎日毎日、ナニしているのだ。夜にナニしても朝にもナニすれば、いいじゃあないか。時には間違えたっていいじゃあないか。ナニの後に賢者モードになってもいいじゃあないか。それは、かつてナニを追及してナニしをした菩薩にだって必要なことかもしれない。ナニをすればナニを悟るのか、それとも電子立国日本を再考するためにナニをすればよいのか。そんなナニの時代のナニを憂いても仕方がないだろう。いまや、ナニの時代ではない。だから、ナニよ立ち上がるのだ。ジーク・ナニー!」
親父はひととおり演説をした後に、気が済んだのだろう、着替えて外へ出ようとした。
俺と妹は、慌てて親父を引き留めた。さすがに、裸のまま外に出ようとするのはまずい。親父のナニをパンツにしまいながら、親父をなだめて、二階に連れて行った。毎朝の日課である。
【完】
