「図解即戦力 アジャイル開発の基礎」と PMBOK 第7版との類似点

アジャイル開発に基礎の本には、巻末に参考文献が並んでいます。これらの参考文献は、論文風に付けたかったと同時に、本書だけでは「アジャイル開発」の理解するには足りない、ことを明確にしたかったからです。当然ですが、ソフトウェア開発をするときに1冊の本の内容だけで足りることはありません。単純なプログラム言語を学ぶ本であっても、すべてを網羅している(ストラウストラップ氏の本は例外かもしれないけど)本はないでしょうし、ある程度のピックアップと省略が必要です。その省略された部分をもともとはどの本に書かれていたものなのかとか、書籍に書いているちょっとした専門用語は実はどの本に書かれいるものなのかを根拠を付けておきたかったのです。つまり、単なる私見を述べているわけではなく、どこかに科学的な根拠がある強調です。

巻末に20冊位の参考文献を付けたのですが、最後に「PMBOKガイド 第7版」が入っています。この文献に関しては、「PMBOK」のほうに重点があり「第7版」のほうは、まあ、最新だからという意味で「第7版」にしてあります。

が、改めて「第7版」のところを調べてみると、どうやらそれまでの「第6版」とは大きく違っているようです。・・・というのを執筆後、というか出版した後に知りました。

第6版までは「プロセスベース」だったのが、第7版からは「コンセプトベース」に切り替わったのですね。それ以前にも、アジャイル開発やCCPMが入っていたのは知っていたので、それも含めてアジャイル本の中にも「PMBOK」の単語/用語を入れていたのですが、どうやら第7版はかなり違うようです。まあ、余談ですが、第6版までの知識で PMP をやっていると、第7版からの PMP とは大きく違うので、それの知識は更新されていますよね?とは思うのですが。そこは余談で。

PMBOK 第7版との類似点

アジャイル本では一般的に「ウォーターフォール開発」を悪手として、それから脱却するために「アジャイル開発」を行うという筋書きになっています。なので、PMBOKが提唱するプロセスベースの「ウォーターフォール開発」あるいは「計画駆動」は古いスタイルという形になり、現状の変化に伴わない、というストーリーになります。ただし、私のアジャイル本では、「計画駆動」というスタイル一本に絞って、プランニングを守る方法としての「計画駆動」と、プランから大きくずれていく可能性が高い「アジャイル開発」という形で区別しています。つまり、プロジェクトを運営していく上で、当初のプランからどれだけずれる可能性があるのか?によって、計画駆動とアジャイル開発を選択するのです。

なので、あくまで「プランとのずれ」によって区別されているので、ソフトウェア開発自体はそう変わりません。品質の確保や、リスク管理のやり方、仕様変更への対処、不具合への対処などは、計画駆動もアジャイル開発でもそう変わりません。

そういう意味で、先の PMBOK 本を改めて購入して通読してみたのですが、

  • 守破離
  • アーンドバリュー
  • リーダーシップスタイルの図
  • プロジェクトバッファ
  • リスクの計算の方法

まで、同じものができます。まあ、第6版のPMBOKにも、CCPMやアジャイル開発の手法が組み込まれていたので、似たものが出てくるのはそうなのですが。なるほど、ここまで同じ用語/手法を共有できるのか、というところです。

そんな訳で、1万円するのですが(物理本だと2万円越え)、「PMBOK ガイドライン 第7版」を購入。

蛇足ですが、PMBOK で使われるウォーターフォールを「予測型」というのはちょっと言い過ぎかと。予測モデル自体は CMMI モデルで出てくるものなので、ウォーターフォール開発は「計画中心」、予測はアーンドバリューなどを利用して変化自体を予測する(従来のアジャイル開発とは異なる)というパターンかなと。

カテゴリー: 開発 パーマリンク