漫画onWebクローン作成(準備2)

話が前後してしまいますが、ちょっと残しておきたかったので。

佐藤秀峰さんの「漫画貧乏」
http://mangaonweb.com/creatorOCComicDetail.do?no=50&cn=1

があります。原稿料のところは非常にうなづける話で、出版社主導/都合だったりします。コンピュータ関係の本は、本の値段が高い(3000円とか)なので最初の印税(保障部数から貰える原稿料相当のもの)は高いのですが、それでも割に合わないことが多々あります。ですが、漫画の場合は、本の値段も安いし、雑誌掲載のみの場合もあるので、原稿料/印税だけでは非常に難しい。だけど、漫画の原稿を書くの非常に時間が掛かるので、それ以外の副業となると難しいところです(最終的にはイラスト書きもあるのでしょうが、新人の頃は難しいでしょうねぇ)。また、コンピュータ関係は基本は1人で書きますが(共著という場合もあるけど)、漫画の場合はアシスタントを含めて数名で書きます。かつ、取材、トーン代金などの経費もあるでしょう。そう考えると、最初の原稿料(1枚なんぼという値段、具体的な値段は、貧乏漫画を参照してください)をアシスタントを含めて数名で分けると、そうとう「貧乏」です。

会社員で入れば、数十万の給与が毎月手に入る。けれども漫画を書く、漫画家を続けるという選択をする。私も会社勤めをやめて、フリーでやっていく(あるいは起業する)。起業の後押しをしてくださる方、編集者の方には非常に申しわけないのですが、それだけでは支えられません。やっていけません。なんらかの内燃機関を持っていないと、漫画家や起業やフリーランスはやっていけません。特に、漫画家、小説家、イラストレータ、アニメータのように直接「儲け」に繋がらない仕事を選択している方は特にそうです(プログラマってのも入れたいんだけど、これは自画自賛になるのでパスしておく)。

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という訳で、漫画家願望崩れ&ITのシステム屋さんとしてはですね、インフラ整備からお手伝いしましょうか、ってな具合です。

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少し計画(妄想レベル)を書いておくとですね。
# なぜ、ばらすかというと、ビジネス特許の取得防止(あらかじめ公開しておく)、賛同者の募集、あと自分のやる気のためです。

電子書籍(ebook)界隈では、紙の本/電子の本ということで、

  • 読む媒体としての、本、Kindle、iPad、Sony Reader
  • 流通会社として、出版社、取次業者、本屋、Amazon、Apple

が話題になっていますが、1次作成者(漫画家、小説家、ライターなど)は、これらの問題はどうでもいいんです。現在の原稿料では喰ってけない、ってのが大問題です。出版社、流通会社からすれば、宣伝、マーケティング、インフラの整備(印刷会社、取次、宅急便など)を含めて仕事をするので、原価(原稿料)を抑えたいのは当然。逆に、原稿料/印税で喰っていく1次作成者は、これを上げたいのが当然。

なので、方法としては、

  • 流通の中抜きをする(サプライチェーンの改善)
  • 編集者を味方につける(代行取材、原作者、校正、DTPも含む)
  • 広告/営業手段の確保、読者の確保

という戦略を取ります。1次作成者が「大金持ちになりたい」と思うのであれば大手出版社の流通に乗せないと無理でしょうが、「今よりは豊かになりたい。創作を続けていきたい」と思うのであれば、原稿料/印税相当のものを上げるほうがベターでしょう。

また、出版社から独立する場合であっても、徐々に移行していきますので「過渡期」があります。この「過渡期」においては、AmazonやAppleの戦術に乗っていきます。

 

漫画などの著作を流通させる場合、これからは3つの方法が取れます。

  • 現在の出版社を通して、本あるいは電子ブックとして出す方法
  • 出版社を通さずに、個人あるいは集団で Amazon、Apple 経由で売る方法
  • インターネットというインフラを通して、Web経由(漫画onWeb)、PDFで配る方法

読者からの課金は、

  • 出版社の場合は、本の代金から原稿料/印税として徴収
  • Amazon、Apple の場合は、流通会社経由で徴収
  • 独自インフラの場合は、自前で徴収

ということになります。当然、独自インフラが一番中抜きの率が低くなります。そういう訳で、徐々に独自インフラに移行させます。

漫画onWeb の場合(あるいは類似パターンが出てくるでしょう)、出版社の宣伝より非常に狭い範囲に限られます。新人の売り出しもそうですが、新連載のアッピールは出版社が持つ広告を使ったほうが広まるでしょう。一方で、AmazonやAppleは、本の宣伝はしません。AmazonやApple が特になる本の宣伝はするでしょうが(無料にするなり、著者をサポートするなり)、流通の考え方は、出版社と同じです。中抜きが Amazon、Apple に置き変わっただけです。

ならば、

  • 広告媒体としては、出版社を利用する。あるいは、出版社に代替するものを求める。
  • 流通としては、Amazon、Apple を利用する。徐々に独自インフラへ移行する。

という方法がベターです。

漫画に関して言えば、雑誌自体の広告、コンビニへの毎週の配本、電車のつり広告、TVへの広告などがありますが、おそらく、

  • 既存読者へのアピール(リピータの確保)
  • 新規読者の確保(新規顧客の開拓)

を考えた場合、メールマガジン、メーリングリスト、雑誌形式のWEBサイトへの宣伝、宣伝用のTwitterの利用(宣伝に関しては、独自のTwitterクライアントが必要でしょう)などのほうが効果的でしょう。もともと雑誌の性質上、漫画雑誌の読者層(ターゲット)は絞られているわけですから、幅広い年齢層、多人数に広告を出すよりも、適切な読者層にアタックしたほうが効果的です。

そんな訳で、今考えてていることを列記すると、

  • 漫画onWebのような、オンラインブックのサイトを複数立ち上げ
    → 当面は、漫画onWeb主導でもいいと思う。
    → ただし、今の状態では、佐藤氏がパンクする。
    → ひとつでもいいけど、おそらくサーバーもパンクする。
  • 電子決済は、ひとつにまとめる。
    → クレジットカード会社との契約を一本化
    → 漫画onWebで使われている、1話20円台を踏襲する?
    → 前払いのポイント制が良い。
  • リーダーを複数化
    → 漫画の場合は、スキャンが基本なので、HUB形式、ePub形式、PDF形式を置く。
    → Kindle は Amazon、iPhoneとiPad は Apple の流通経路を当面使う。
    → ePub 形式にすれば、Amazon、Apple を通さない配布も可能。
    → PC版は、Flash、Silverlight、HTML5 など。
    → 不正コピー防止の仕組みは、独自インフラでは必須
    → ダウンロード販売よりも、ブラウザにて閲覧が主体。
    → ダウンロードする場合は、専用リーダ(公開キー付き)を利用する
  • 雑誌形式の企画
    → 新人の発掘(漫画界を支えるため)のため、雑誌形式の配布も用意する。
    → 既存の漫画雑誌と同様に、新旧入り混じって売る。
    → 新人、ベテランの原稿料は同じにする?(新人が暮らせるようにする)。
    → 編集者の参加は必須と思われる。
  • 宣伝/広告インフラ
    → 電子媒体(インターネット、メールマガジンなど)を主に考える。
    → WEBサイトを持つ企業へのアピール、電子雑誌への広告費を徴収。
    → 宣伝用ブログパーツの配布
    → 漫画/小説サイトへの、広告を募集。

ここまでくれば、

  • 出版社の原稿料/印税率に悩まずに済む。
  • Kindle や iPad などの、特定媒体に依存せずに済む。
  • Amazon や Kindle の新流通に縛られずに済む。
  • goolge の検索広告に頼らずに済む。
  • 余計な仲介業者が入らずに済む(自費出版とかね)。

でしょう。印刷された本のほうは、また別途流通を考える必要があるでしょうが。

 

いちおう、このアイデアの元となった方々をリンクしておきます。ブログやTwitterを参照されると、経緯がわかるかなと。

最初のTwitterで拾ったのが↓でした
ウェブコミックの「イマココ」/「漫画onWeb」収支状況の報告と考察

佐藤秀峰さん/漫画 on Web 
http://mangaonweb.com/creatorTop.do?cn=1

一色登希彦さん/アトリエモーティヴ オフィシャルウェブサイト ブログ
http://toki55.blog10.fc2.com/

須賀原洋行さん/漫画家Sのブログ
http://uaa-nikki.cocolog-nifty.com/

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漫画onWebクローン作成(準備2) への4件のフィードバック

  1. k1496 のコメント:

    >不正コピー防止の仕組み

    なにやら右クリックできないサイトが増えてきましたが、
    画面キャプチャを取られたら終わりじゃないですか??

    スラムダンクの後日談もYoutubeで見てしまいました。。

    プロが書くのだから内容が面白いのは当然として、やはり
    知ってもらう方法が難しいな、と思います。

    MySpaceで僕のコンテンツをいいと言ってくれる確率は7/1000で、
    分母を大きくすればオルタナティブ好きには受けるのかも、と
    感じました。

    僕はその可能性を感じられただけで満足なんですけど。。
    趣味なので。

    本気でやろうとしたとして、分母をどうすれば大きくできるのかなぁと。
    そこが大きな問題だと思いました。

  2. masuda のコメント:

    > なにやら右クリックできないサイトが増えてきましたが、
    > 画面キャプチャを取られたら終わりじゃないですか??

    ああ、言ってはいけないことw。
    不正コピーに関しては、抜け道はいっぱいあるので、完全には無理。漫画雑誌にしたって、コピーして販売する海賊版があるわけだから防止しようがない。なので「お金持ちになる手段」としてではなく「生活する手段(ほどほ度の金額)」にとどめるのがベターかなと。特に漫画家の新人は食えないのが当然だったりするし。

    >本気でやろうとしたとして、分母をどうすれば大きくできるのかなぁと。
    >そこが大きな問題だと思いました。

    ん~。分母を大きくするという市場の原理を使うよりも、
    「あなたを好む人は、すぐ隣にいるのでは?」なパターンがいいと思うんだけどなぁ。

    幸せ>現状+α

    なので、αはそんなに大きくなくていい。
    すぐ手に入る近さにあるか、将来的に手に入る近さにあるだけで良いと思う。

    ところで、転職先は決まった?

  3. k1496 のコメント:

    ほどほどの金額、にとどめるとしても、それを購入する人が
    ポチっとしてくれないといけないわけですよね。
    僕の場合は知らない人がTシャツを一枚買ってくれましたw
    あとは外人が買いたいって言ってくれたけど、そのサイトが
    日本しか届けらんないとか言って、機会を逃しました。

    新人漫画家がWebで公開できて、いくらか読者がついたら、
    彼らのモチベーションはあがると思います。

    僕だったら電子雑誌形態の方が読もうと思うかなぁ。
    漫画onWebは読んでますよ。すでにサーバーが重いです。
    で結局、本屋で買ってしまったという。。

    働きながら転職活動はしんどいですね。

    太郎くんが分速60mで学校に行き、5分後に母が
    弁当を持って分速90mで追いかける。
    まだそんな感じです。。

  4. masuda のコメント:

    「ほどほどの金額」ってのは、売る側の収入ってことで。個別の商品の値段は別かなぁ。
    ぽちっとするのに、漫画onWebだと1話20円。一冊、BOOK OFF で1冊、200円弱。TSUTAYA の貸本で1冊80円。
    なので、単純に「本を持たなくてもいい」のであれば、TSUTAYA が安い。
    買わなくていいかぁ、という漫画本は、最近TSUTAYAだったりする(汗 本棚がいっぱいすぎて溢れてる。

    漫画onWebは、集中しすぎるとパンクしそうなので、分散が必要でしょう。
    分散といっても流行りのクラウドじゃなくて、ジャンル分けをして個別にサーバーを立てる感じ。
    それぞれを独立させて、横連携ってのがスムースかなと。> って話が(準備3)のやつね。

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