三方良しコンファレンス2009

三方良しの公共事業推進国際コンファレンス2009
http://www.sanpouyoshi.jp/index.html

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午後は、三方良しのコンファレンスです。
こちらは、CCPMを導入して、国土交通省、建築業界、公共事業の話になります。

工程のスループットを上げるために、
・ワンデーレスポンス 官庁側が1日以内に返事をする。
 → ラピッド開発と同じ。
・ODSC/CCPMの導入。
 → クリティカルチェーン、TOCの応用
# 私の担当分野としては、IT企業、商店街、専門店、零細工場ですね。
# アイデアの出し方、横連携の方法を真似したいところです。

三方良しは、TOCの岸良さんが旗振りをして5年位前からやっているものです。
株式会社ビーイングの CCPM のソフトを使って、官庁と建築業界が一体になって、コスト改善/納期厳守を行っています。

以下は、ノートのメモです。

農業では地道な「改善」が強み。
工程管理、リスク管理が優秀である。

自分達で作る、そして売る。創造する。というのが「日本独自の文化」
 → アメリカ式、漢民族方式の金融業界は日本には向かない。
 → 財部氏、トッテン氏も同じことを言っている。
 → 流通(マージン業界)には向かない。
 逆に言えば、農業方式のほうが、日本人相手には説得力があるのでは?
クリエイティブなものは「真似できない」。専門性が高いもの。
トヨタ生産方式、セル生産、カンバン方式。
モチベーション、家族的な組織。
→ 何故、google の社員/役員が辞めて、自分達で会社を作るのか?

トヨタの「自働化」
・品質は工程で作り込む。
 → QCのように、検査を厳しくするだけでは駄目
・異常があったら機械が自分で判断して止まる。
・7つのムダ
 1番は、「造りすぎのムダ」
  原材料を消費してしまう。製品の在庫が増える。

IT業界は、
・手待ちのムダ(指示待ち)
・不良品のムダ(仕様が不十分、動かないプログラム)
  動かないものをたくさん作ってもムダ。テストを綿密にやらないと駄目ってのはムダ。
 
管理とは「維持」+「改善」のこと。
 維持は、標準を決めること。初心者ができる標準ではなく、ベテランが作る標準。
 標準を厳しくし、改善する。

トヨタでは、昭和36年にTQCを導入し、平成6年にTQMを導入している。

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ここから所感です。

プロセス改善、スループットの向上で利益が上がるのは、生産/流通などの既存の流れのシステムです。なので、工場や小売(スーパー)などにはうまく適合できます。IT業界で言えば、microsoft のソフトウェア・ファクトリの構想もこれに似ています。
ですが、メモにも書いた通り、「創造」の部分は CCPMやJITからは出て来ません。あくまで、効率/能率化になります。

ただし、TOCで使われている思考プロセス(クラウド)は、この創造に使えます。これは、マインドマップや、ペルソナ、KJ法、ペーパープロトタイピングと同じです。何かを発想するための方法なのです。
個人的に、ひとり作業のために CCPM を活用しています。WBS と同様にカードに分割して、バッチ処理を流すのです。このようにすると、進捗率(バッチの流量)が簡単に計算できるために、終了が予測可能になります。当然、進捗が進むごとに終了予測の精度は高まります。

さて、CCPM ですが、これをそのまま適用するとIT業界(管理側ではなく開発者側)では問題が出ます。というのは、先ほどの「創造」の話になるのですが、予備時間を切り詰め、スループットを上げるために、次への学習時間を取られてしまうのです。
これは、生産や建築の現場では業務時間が厳しく決められているのですが、IT業界の場合はなあなあになっています。なので、深夜勤務、残業がほとんどです。ですから、生産現場では余った業務時間外で勉強会を行うことは可能なのですが、IT業界では余った時間は、他の仕事を詰めてしまうことが常です(これは経営的に問題も多いのです)。
なので、ITの現場に、建築で使われるCCPMをそのまま入れることは、問題が多いのです。

ただし、スケジュール管理、目的の共有、という点では、ODSC/CCPM の工程は非常に重要です。これは建築業界におおいに学ぶべきところです。ですが、次へのステップに進むために「学習時間」の確保も重要です。
ここの部分は、現在の私は

・学習曲線
・行動経済学
・システムへのフィードバック
・知識創造企業

を交えて考えています。
しばらく、この手のプロジェクト管理/運営を考えてはいなかったのですが、ぼちぼち再開しようと思います。

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